けんたろう所長のプラスチックモデルラボラトリー「接着剤の使い分けを考える(その2)」

けんたろうでございます。前回は接着剤の分類を見てきました。タミヤセメントを代表とするトロトロ、通常タイプの接着剤、サラサラの流し込み接着剤。粘度で接着剤を分類しました。今回は使い方や使い分け、そのコツなどを見ていきましょう。

▲現状自分がプラモデルを作るうえで使う接着剤はこの2つです。セメントSPはとにかく乾燥が早く次の作業に移りやすいことが利点です。タミヤセメントはじっくり&しっかりという接着剤で、ダボがゆるくてもしっかりつなぎとめてガッチリと固めてくれます。腰を据えて強度やアライメントをしっかり出したいときに使います。艦船模型ではセメントSPがセメントSになります。理由はセメントSだけは精細なディテールを溶かしきらないからです


▲接着剤はほとんどが刷毛つきの蓋になっていて便利です。早速ポイントがあります。接着剤の塗布量をコントロールするために、刷毛につける接着剤をコントロールしましょう。刷毛を瓶の入り口でしごいて余分を落とします。買ったばかりで流動性の高いものだと、したたり落ちるほどに刷毛に接着剤がついて来るので必須ですね


▲おおむね自分の場合3パターンあり、たっぷり、通常、少なめの3パターンです。上はタミヤセメント。タミヤセメントは筆が太いぶん含みが多いので通常から少なめをよく選びます。セメントSPの場合は塗布面積(長さ)に合わせてコントロールします。流し込みの特性ゆえ多いほうが接着はやりやすいです


▲はみ出た接着剤は表面を荒らしたり、ディテールを溶かしたりいろいろ悪影響が出ます。テロっとツヤが出たりしている部分がそれですね。だからこそ適量を見極めて操作する必要があります。基本は接着したときにはみ出ないギリギリを見極めて塗るのがポイントです。内側に傾斜して多めにつける、これだけでもかなりの効果です。またパーツを目標点にしっかり降ろすのも大事です。自分の場合運ぶのが難しいかもと思ったときは一回接着剤をつけずに接着シミュレーションをします


▲小さな部品では頻出のテクニックとして、パーツを刷毛につけるという方法もあります。刷毛を出してその場において、パーツをピンセットではさんだらパーツのほうを刷毛に持っていく方法です。そのあとすぐにパーツを接着するので、持ち替えや動きも少なく多数のパーツを次々接着するときにも効率的です


▲接着線が長いとき、面積が広いときは流し込みのほうが使いやすいです。通常の接着剤ですら端から塗り始めると塗り終わる頃には乾いてしまう、なんていうケースが起きるので、しっかり合わせてから複数点で流し込む、というのがよいでしょう


▲流し込み接着剤はすごい勢いで流れるので、絶対に流路に指を置かないようにしてください。ディテールなどにも沿うので、スジ彫りから指にたどりついて表面に指紋をつけてしまうこともあります。広い面ならヤスリでリカバリできますが、ディテールだと直せないケースもありますので要注意です……


▲接着面積が小さくパーツも細いマストやライトのようなパーツは、しっかり接着するためにまずタミヤセメントでくっつけて、その後に流し込みでしっかり埋めていくというハイブリッド方式もあります


最初こそ使い分けは難しいですが、慣れると考えずに使い分けできるようになります。箸でもパスタは食べられますが、まあ手元にあったらフォークを出しますよね。そんな感じで区別をつければそのうち呼吸のように。接着剤の使い分けはまさにそういう感じです。ではまた来週。





けんたろう/模型総合誌、月刊ホビージャパンや月刊モデルグラフィックスで絶賛活躍中。模型の腕前も確かながら「作品を残す作家タイプ」というよりも「模型を作る楽しさを探求し、発信するタイプ」のプロモデラー。

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