タコムが思想を一新!? 新シリーズ「ブリッツ」始動!

タコムから1/35ヤークトティーガーが発売となりました。タコムですからね、仕上がり間違いなく良いでしょうな、そこは心配しなくても良いと思う。初期型後期型が作り分けられるのも嬉しいし。でもこのキットはそれだけじゃないんです。なんでもタコム的には新しい取り組みと言いましょうか、思想を一新したシリーズ、「ブリッツ」の第一弾なんだそうです。その思想(?)とはザックリ言うと「パーツ数を少なくすること」それにより「作りやすくすること」なんだそうで、確かに特に第二次大戦のドイツ軍車両については、他社の製品との差別化を図るためかエンジンから何から入った「フルインテリア」で、高さのある箱にパーツがギッシリ。とても気軽にと言う製品ではなかった(究極のものにするべく作り込みたい場合には最高なんですけどね)。そこでインテリアとか入れず、パーツ数を抑えたベーシック(?)なシリーズを展開していくと言う運びになったようなんです。というわけで本日は気になるブリッツシリーズのキットを見ていきたいと思います



▲ベーシック(?)なパーツ数で生菌化されたタコムのブリッツシリーズ「ヤークトティーガー Sd.Kfz.186 前/後期型 2 in 1」


▲車体骨格を構成するパーツ類。手すりとか極小パーツ類のランナーは別にしてますが、パーツ数が少なめなのがわかりますね


▲車体の表面、走行の厚い部分に当たるところには程よくテクスチャーが付けられていて「圧延鋼板」な感じに仕上がっております


▲各所にある溶接後も再現。いい感じじゃないですか!


▲商品名にもあるようにこのキットは初期型と後期型(最後期?)を再現できます。で、この2枚のランナーのうち、写真上を使うと後期型。写真下のパーツを使うと初期〜型になります。つまりバリエーションを作り分けるのはこの2枚のランナーどちらかを使えばいいということです。エンジンデッキは対空機銃架の位置がちゃんと違ってますね感心感心(あたりまえ)


▲当然ですがフロントフェンダーも違ってる。うぅ、リブ付きのフロントフェンダーにはつい反応しちゃう体質が


▲体が反応するでいうと、車体後部の大型化された牽引用ホルダーも。このパーツはドラゴンでもありましたけどね。最後期型に入ってましたが、長〜く再販されず幻のパーツ状態を過ごしてきたからなんでしょうね、つい反応しちゃう


▲車体各部の小パーツがまとめられたランナー。ペリスコープは透明ではないんですね。ワタクシはどっちでもいい派なので気にしませんけど。というか、マスキングやら組み立て時に裏からシルバー塗って〜黒吹いて〜なんてのがあまり好きじゃないんだよなぁ、確かにクリアーの方が質感は高いけど


▲足回りのパーツです。至ってシンプル。キャタピラは再現度の高さと組み立てやすさの良いとこどり、部分連結式です


▲キャタピラはタコムではお馴染みの組み立て用の治具も付属してますから作りやすい


▲キャタピラのパーツには、大きめのランナー2枚とは別に、4コマ半に分けられたものも入ってます。最後期型では車体横の予備キャタピラが増やされてますからその分みたいですね


▲キットにはエッチングやらも付属してます。ワイヤーは峒線を捩ったもので、柔らかく形もつけやすいんですが、説明書にも使用の指示がない。これはあくまでも「オマケ」みたいです(2本分の長さはなさそうだし)。牽引ワイヤーで言うと、パーツ数は抑えたキットながら、車体横の牽引ワイヤーとクリーニングロッドの留め金は、留め金だけのものとワイヤーとロッドがついた状態のものの2種類がパーツ化されています。ただいたずらにパーツ少なくしてるんじゃなくって、ツボは抑えてる。そう言うキットですねコレ


▲デカールはこんな感じ。4パターンの車両を再現できます




戦車模型はスコップなど車外装備品がフェンダーの上に一体成型されている時代、パーツを削りとり、スクラッチしたスコップを乗せ直すなんてことから始まり、エッチングパーツを経て、さらにさらにとモデラーが望むうちに究極とも言えるグンゼ産業の「ハイテックシリーズ」にいきつくわけです。確かにハイテックシリーズは究極の夢を見せてくれましたが同時に「コレがプラスチックで作れたらなぁ〜」なんて思いも。その夢はドラゴンの「スマートキット」で完全に昇華されるわけですが、気がつけば最初の頃から(ハイテックと比べても)再現度や正確さは飛躍的に高まったもののパーツ数はまるで天井知らずのように増えていき、戦車模型を作るにはそれなりの作業量を必要とするようになっていったと思います(タミヤ さんだけが冷静だったのはさすがとしか言いようがない)。後に続く海外メーカーもそうしたパーツは多いけど再現度が高いものを手本にしたからなのか分かりませんが拍車がかかる。戦車作るだけでも大変ですからね。そりゃぁ、情景作りませんか?って言われたってなかなか難しいと思います。そのためかわかりませんが近年、戦車模型の大きな魅力だった情景との良い関係にも陰りができてきたような? 元々戦車情景派だった方は他のジャンルに流出している気もするし。
コレがワタクシが思う「40年ぐらいかけて出来上がった今の戦車模型の世界」だと思います。振り返って思えば、再現度が高まったのはワタクシのようなオジサマモデラーの功績でもあり、と同時に罪でもあるように思えてきた(オジサマ方も今やパーツが多いと嘆いていたりする…)。そして「パーツがメッチャ多い派」のタコムが提案するブリッツシリーズ。「いったん落ち着こう」じゃないですけど、これからは「作りやすい」と言うことが求められる流れもいいのかもしれませんね。これがきっかけになるかはわかりませんが、もしかするとまた数年後振り返ったときに「あのキットの頃がターニングポイントで、作りやすくなったよね〜」なんて言っているかもしれませんね。たまには真面目っぽい事も言う(笑)。ではまた〜


今回紹介したキットはこちら!
1/35 ヤークトティーガー Sd.Kfz.186 前/後期型 2 in 1
by TAKOM

斎藤 仁孝

元戦車模型専門誌「月刊アーマーモデリング」誌編集長にして、現在は月刊モデルグラフィックス誌などで活躍する模型誌モデラー。戦車模型への愛と知識もさることながら、陸海空スケールキットからキャラクターモデルに到るまで全てのジャンルに精通。約1000個のキットストックを持つ生粋の模型好き。

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